〇〇怪談集(河出文庫)について

 3ヶ月くらい前の話だが、河出文庫から「ロシア怪談集」という本が発刊されるのを知って購入した。表紙の絵にインパクトがあり惹かれたことが購入のきっかけである。

 

 そのすぐ後に、他にも「アメリカ怪談集」「イギリス怪談集」「中国怪談集」「日本怪談集~取り憑く霊~」「日本怪談集~奇妙な場所」なるものがシリーズで存在することを知って一気に購入してしまった。

 

 発刊日をよく見てみると、最近新装版として出版されたもので、初版は1989年であることが分かった(ホラーって昔からあって、今読んでも違和感なく入り込めるのが凄いなぁ)

 

 まず、アメリカ怪談集を読み始めて見たのだが、驚いたことに文字がとても小さく読みづらかった。私はいまも裸眼で生活できており、最近でこそ仕事で常にコンピュータに向き合っているため、少し目のかすみや疲れが見られることがあるが、決して視力は悪くないほうである。

 

 しかも、内容が慣れ親しんだ日本の文化からかなりかけ離れているせいか、結構な想像力を働かせないと時代背景や登場人物の心情が読み取りにくく、いつもなら読み始めると眠くなるまである程度は読みすすめてしまうのだが、今回の相手に関しては数ページで断念してしまった。

 

 似たような経験は高校生のときにもあった。

 

 当時、角川ホラー文庫というシリーズにハマってしまい、代表作でいうと鈴木光司「リング」「らせん」(3部作完結編のループは当時文庫化はされていなかったと思う)や、他にも貴志祐介の「黒い家」「クリムゾンの迷宮」「十三番目の人格イソラ」など現実逃避にもってこいの名作が多かったため、角川ホラー文庫であればどの作品も見境なしにブックオフで100円で買ってきて読み尽くしたものだった。

(もちろんその中にはハズレ作品もあったが、それは決して駄作というわけではなく、その作風が私の趣味に合わなかっただけで好きな人はもちろん好きであろうものには違いなかった)

 

 話は逸れたが、読みづらい本で言えば、角川ホラー作品の中でも、翻訳された海外作品「トリックスター」や「ブレアウィッチファイル」など、海外が舞台となっているものは基本的に読破するのに膨大な時間がかかった。

 

 中でも「フランケンシュタインの子供たち」という、フランケンシュタインにまつわる短編集については結構面白かったが、それぞれ作者によって作風が異なるので、一日あたり一話読むなど休憩を挟みながら読まないと、世界観の違いように頭がおかしくなりそうだったのを覚えている(当時は一般常識的な知識が乏しく、また海外文学を読み慣れていなかったせいで抵抗感があったものと思われるが…)

 

 以上、まとまりがなく思いついたことをつらつらと書いてきたが、結局何が言いたかったのかというと、やっぱり日本文学が好きだということだ。上記のアメリカ怪談集を一時中断(今も中断中だが…笑)した後に、「日本怪談集~奇妙な場所~」を2話ほど読んだが、まぁ面白いのなんのって。

 

 少しネタばれが入るが、一話目は日影丈吉の「ひこばえ」という作品。ひこばえと言う言葉をはじめて聞いたため、最初はなんのことか分からずに読んだが、内容的にはよくあるホラーの展開。日常がある日をさかいに非日常に変わっていく、それに気づいてからは事態がもの凄いスピードでラストまで一直線に駆け抜けるというもの。

 

 サブタイトルが「奇妙な場所」というだけあって、おそらく収録中の全作品がなんらかの場所を起点に物語が展開するものと思われる。例えばひこばえに関しては「人気(ひとけ)が感じられない家」が起点である。

 

 二話目の筒井康隆の「母子像」はこれも「家」と「ある玩具」がポイントとなっているのだが、最近読んだ別の短編集「異形の白昼 恐怖小説集」にも同じ作品が収録されていることから、おそらく有名な作品なのだと感じとれる。

(これに関してはホラーの中では、まして私にしては珍しく、ラストの展開が容易に想像できた作品である。ただし結果が分かったからと言って決してつまらないものではなく、やはり筒井先生の表現力は素晴らしいもので相変わらず満足する出来栄えだった

 

 以上、ホラー作品に関する無駄話であったが、私の人生の中でホラーは切っても切れないものであり、細かく数えたことはないが、これまでに100作以上は読了していると思うので、また機会があればマニアックな作品、お気に入りの作品など紹介したいと思う。